”英国で最もクリエイティブで才能あふれるシェフの一人”と称される、世界的に有名なミシュランスターシェフ、トム・エイキンズ氏が日本で初めてプロデュースする、モダン・ブリティッシュ・レストラン「The Jade Room + Garden Terrace」。そのキッチンを指揮するリチャード・マクレラン氏と、東京エディション虎ノ門のヘッド・ソムリエ 矢田部匡且(やたべ・まさかつ氏)と、「モダン・ブリティッシュとは」というテーマでお話ししました。

ずばり、モダン・ブリティッシュ料理とはなんでしょうか? 

 

Richard: 難しい質問ですね(笑)。恥ずかしながら、英国はフレンチ、イタリアン、スパニッシュなどに匹敵するような食文化は持っていなかった。1950〜60年頃までは、英国の食文化は貧しかったと思います。言い換えれば、食事の水準は低く「とてもマズかった」(笑)。私も10代の終わりにギリシャやイスラエルなどの地中海沿岸に行って初めて、「食」というのは実は、とても面白いものかもしれない!と気づいたくらいですから。 

英国でまともな料理がされるようになったのはその後で、今のような目覚ましいレベルのモダン・キュイジーヌに達したのは、特にここ20年くらいのことだと感じます。 

 

「モダン・ブリティッシュ」 と呼ぶことで、「何でも煮込む」「火を通しすぎる」という古い英国料理のイメージを一掃して、これまでとは違うんだ!ということを印象づけたいのではないでしょうか(笑)。英国も日本と一緒で、素晴らしい農家や酪農家が多く、魚も美味しい。それらを活かした、新しいムーヴメントなのだと思いますね。この20-25年間で変貌を遂げた英国料理の「最新形態を表す呼び名」だと思います。 

 

やはり、ベースはフレンチなのでしょうか? 

 

Richard: もちろんトムはロブションなど、フランスで素晴らしい経験を積んでいますが、「モダン・ブリティッシュ」に関して言えば、それよりも「ヨーロッパ料理」と呼ぶ方が適切だと感じます。 

ヨーロッパのどの国が、どのスタイルのオーナーシップを持っているのかを議論するのは、とても難しいのではないでしょうか?もちろん、調理の手法を体系立てて、アートの領域にまで高めたのはフランスですが、ずっと昔から英国人もビーツをローストしていたし、ピクルスも作っていた。全体をフラットに見れば、「ヨーロピアン」と言った方が個人的にはしっくりきますね。 

The Jade Room + Garden Terraceでは、ヨーロピアンなアプローチをベースにしながら、フォーカスするのは「日本の食材」です。日本は食材がとても豊かな国なので、日本の食材以外を使うのはクレイジーだとトムと話していました。現時点で輸入品を使ったのはトリュフ、キャビアだけで、野菜、魚、肉、乳製品、全て日本の食材です。 

 

日本の食材をも柔軟に受け止めながら、現在進行形で進化しているのが「モダン・ブリティッシュ」なのですね。日本の食材については、どう思いますか? 

 

Richard: 昨年、一昨年と南仏で働いていたのですが、その時の感覚が日本と似ているんです。南仏では、3週間ごとにトマトやメロンが種類を変えたり、様々な柑橘が加わったり。日本でも1-2週間しかない豆があれば、宮崎マンゴーも1ヶ月しか手に入らないでしょう?英国では同じ野菜が4-5ヶ月くらいは手に入るので、旬の食材がどんどん変わっていくのが面白いですね。 

 

野菜の味は、どれも少し甘めに感じます。魚の肉質も引き締まっていますね。果物では、ブドウやメロンも素晴らしいですし、宮崎マンゴーは…… アルフォンソマンゴーとも違う、他では出会ったことのないマンゴーでした!来年の春は、フキノトウなどの山菜がとても楽しみです。 

 

モダン・ブリティッシュ料理は「新しいムーヴメント」ということでしたが、英国ワインについてはどう思われますか? 

 

矢田部: トレンド発信地であるロンドンの料理が、今すごく美味しくなっているって、知っている方は知っていますよね。ロンドンでトムが作っている料理を日本で食べられるという環境で、私たちも新しいものにフォーカスして提案したいと思っているのですが、全世界のスパークリングワインをブラインドでテイスティングすると、シャンパンを除いて、やっぱり英国ワインが頭一つ抜けている。どれもクオリティが高い。ワインとして圧倒的に進化し、発展しているということなんですよね。トムも英国のスパークリングワインが大好きですし。 

ロンドンのトムのレストランでは、ワインリストには CLASSIC と DISCOVERY という2種類があるんです。まさにその、DISCOVERYにカテゴライズされる存在です。 

東京はフーディーな方が多いし、レストラン自体も多い。そういう中で、新しいホテルのエンターテイメントをレストランという形で打ち出していくにはと考える中で、ワインプログラムもクリエイティブなことをしていかないと、お客様はついてきてくださらないと思うんです。 

トムの料理はボリュームがありながらも、クリアで繊細なタッチで、でも食べてみると味わいがしっかりしている。トムもリチャードも海外で沢山インスピレーションを得て、どんどん新しいものを取り入れているので、いわゆる「フレンチ」だけの味ではない。その流れで、CLASSIC と DISCOVERYというバランスが必要だと思いますし、その上で綺麗さがベースにあるものをセレクトしています。 

酸味、余韻の長さ、複雑さ、ストラクチャー、テクスチャー…… 多くのゲストに、英国ワインの素晴らしさを楽しんで頂けたらと思います。 

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「The Jade Room + Garden Terrace」ではオープンから、ガズボーンのBlanc de Blanc がハウススパークリングとしてグラスで採用されています。日本の食材をも受け入れながら進化する「モダン・ブリティッシュ」料理と一緒に、お楽しみください。 

プレス・リリース「日本人が未だかつて体験したことのない 最先端のモダン・ブリティッシュ・エクスペリエンス 」

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