ガズボーンのワインづくりは常に野心的です。ディテールに細心の注意を払い、完璧を極めるという点に妥協の余地は一切ありません。そしてそれは、快楽主義とも言えるスタイルのスティルのイングリッシュ・ロゼにも、最も熟成価値のある希少なワインでも、アプローチでも変わることはないのです。

 

しかし、その上で、特定のボトルを通常のワインから際立たせることができるディテールがあるとすれば、それは「時間」です。

 

これはラグジュアリーなワインづくりにおいて最も偉大かつ、最も見過ごされている要素のひとつかもしれません。それは、ワインが澱(酵母の死骸)と共に長い年月を送る中で複雑さを増し、ビスケットのような第三アロマを発展させていく澱熟成の時間だったり、コルク栓や王冠で打栓された瓶の中で成熟し、風味が発展・一体化するのを待つボトル・エイジングの時間だったりします。

 

ワインの発展にいつ介入し、いつ手を離すべきかを知ることも『熟成の芸術』の一部。それは何より、ワインに向き合うことの勤勉さを求められる仕事です。チーフ・ワインメーカーのチャーリー・ホランドは、チームメンバーとともに1本1本のボトルに入念に目を光らせ、鋭い洞察力を持って確認・評価し、そして最終的には、いつリリースするかという最終判断を下すのです。

 

2022年秋、私たちは初めてとなるプレステージ・ワイン、51°N(フィフティ・ワン・ディグリーズ・ノース)2014を世に送り出す時が来たと感じました。このワインは、それまでガズボーンが培ってきたワイン造りの最高の表現であり、英国ワインの分水嶺となるヴィンテージから生まれた特別なワインです。

 

51°Nは、批評家や顧客に対してガズボーンのワインが真に成熟したことを証明しました。とある評論家に「ミニ・クリュッグ」と言わしめたこのワインの評価は私たちが期待していた以上のものとなり、限定数のアロケーションはすぐに完売となりました。

 

同時に、51°Nはガズボーンの「プレステージ・ワインポートフォリオ」の一要素に過ぎません。51°Nは、複雑で熟成能力の高い、上質なリミテッド・エディションの数々の筆頭という位置づけなのです。

 

日本でも限定数リリースされたブリュット・リザーヴ 2013 レイト・デゴルジュは、まさに、熟成が生む複雑さを愛する人々のために造られた、ラグジュアリーワインの好例です。

 

レイト・デゴルジュは長期コルク熟成とは異なり、酸素との接触を最小限に抑えてつくられます。そのため、英国ワインの特徴である、フレッシュさと高揚感ある酸味が保たれるのです。しかし、コルク熟成と王冠キャップ熟成の違いについて深くを理解していなければ、このワインが楽しめないということでは全くありません。ボトルの1本一本に、深い思慮と惜しみない時間が費やされたことさえ知ってさえいれば、思うがままに、ガスボーンの栓を抜くことができるのです。

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