ガスボーンではいつも、英国のワイン造りでできること、その限界に挑戦してきました。実験と改善、ファイン・チューニングを重ね、常にワイン造りを前進させています。「51°N:フィフティワン・ディグリーズ・ノース」は、まさにこのアプローチの証明といえるものです。

「創業者のアンドリュー・ウィーバーは常に一歩先を行き、未来を見据えているんです」と、チーフ・ワインメーカーのチャーリー・ホランドは言います。時は2007年、アンドリューはその年のブラン・ド・ブランを一部、別に取っておくように言いました。通常より長く熟成させると、ワインがどうなるかを観察したかったのです。

「2014年にリリースした時、7年の熟成を経たそのワインは、魅力ある重層的な複雑さを持っていました」と、チャーリーは語ります。「しかし、そのワインは長期熟成することを念頭に造られたものではありません。そこで考えたのです。プレミアムで究極の、レイト・リリース・ワインをゼロからデザインするには、どうしたらいいのだろう?と。」こうして、51°Nのプロジェクトが始まったのです。

全ての条件が理想的なものでなければなりません。2014年はその点、幸先よくスタートしました。長く暖かい春は完璧な開花を促し、果実はケントとウェスト・サセックスの両方で一貫して良好。教科書でお手本とされるような収穫を迎えました。チャーリーがプレステージのレイトリリースワインを造るために必要なものが、すべて揃っていました。

最高の畑の最高の区画から収穫された、最高のブドウ。極限にまで純度にこだわった圧搾。もっとも味のある樽。それが、私たちのスタート地点だったのです。

2015年以来、チャーリーと彼のチームは、毎年少なくとも年に2回は51°Nを試飲しています。ワインを注意深く観察し、また、優しく見守りながら、ボトルの中で進化するワインを評価し続けてきたのです。

 

テロワールと目的

51°N というワインの中核を成すのは、生まれた土地という概念 ー つまり『土地の感覚、その土地らしさ』です。このワインは、造られた土地と、そこに流れていた過去のとある時間について、語るべき唯一無二のストーリーを持っています。それゆえに、まさにその位置を指し示すものとして、私たちはその特別な指標をワインに冠したのです。北緯51度 ー ケントとウェスト・サセックスのブドウ畑の位置を。

長い間、ワインの教科書では北緯49度がスパークリングワインを造ることができる最北端とされてきましが、気候変動によってその定説は変化してきました。今日では、ガスボーンのもつミクロクリマと地質は、ますます恵まれた取り合わせになっています。「世界最高のスパークリングワインが、ブドウにとって辺境とも言える気候の中で造られるようになったのです」とチャーリーは言います。

ブレンドは、約3分の2がシャルドネ、3分の1がピノ・ノワール。チャーリーはバランスを考え、シャルドネはケント州の畑のものを選びました。ケントの粘土と砂岩からなる土が、ブドウにこの土地特有のシルクのようななめらかさ、丸み、重みを与えています。ピノ・ノワールは両方の畑のものが使われていますが、ウェスト・サセックスのチョークとフリントの土壌で育ったブドウが、エレガンス、静謐、フレッシュさと骨格を与えました。

2015年4月にボトリングされた51°Nは、澱と共に80ヶ月間もの時を経て、今ついに、その複雑な味わいを楽しむ用意が整いました。チャーリー曰く、「美しく歌うワイン」というこのワイン、お楽しみください。

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